裏商売

「これが完成品か、意外と小さいな」

「持ち運びができるまで小型化するのは苦労しました、外見はノートパソコンに偽装してあります」

ある会社の地下にある研究室、研究員が社長と会話をしており、それを社長秘書が見ていた。

「社長、それは何ですか?、まさか危険な物では…」

秘書は会話の内容の怪しさに、疑念の言葉を投げ掛ける。

秘書の険しい表情とは対称的に、社長は笑顔で秘書に話し掛けていく。

「これは男の夢を実現する機械だよ、まずは君の美しい体で試すとしよう」

「そうですね、その美貌は永久保存すべきです」

研究員は秘書の体を舐めるように見ながら、機械を起動させていく。

「な、なにをする気ですか?」

秘書は身の危険を感じ、後退りながら両腕で体を隠す。

「逃げても無駄ですよ、それでは開始です」

「や、やめ…」

室内に秘書の最後の声が一瞬だけ響いた。

その日、秘書は失踪し行方不明となった。

数年後…会社の地下室では社長がパソコンを操作し、メールのチェックなどをしていた。

「新しい注文メールが来ているな、福井さんからか、赤瀬夏那 19歳、バイト先のウェイトレスの制服を希望か」

社長がメールを確認していると、机のインターホンが鳴り、研究員の声が聞こえてくる。

「社長、商品の確認が終了しました」

「判った、すぐに行く」

椅子から立ち上がりながら、社長は視線を後ろに移す。

視線の先には複数の女性がいて、全員が全裸でグラビア写真のようなポーズをしている。

女性の共通点は20代の美女で、全く動かないまま瞬きすらしていない。

その中の1人は行方不明になったはずの秘書であった。

社長は満足気に女性達を見ると、メールをプリントした紙を持って部屋から出ていった。

「この3人が新しい商品か」

社長が入ってきた部屋には研究員と3人の女性がおり、こちらの3人の女性も全く動かないでいた。

「はい、まず1人目。田上様の注文で、天野由希 22歳、フィットネスクラブでのレオタードを希望」

由希は肩までの黒髪に気の強そうな顔付きの美女で、水色のレオタードを着て、右手で髪を掻き上げたポーズをしている。

「ほぉ、こいつは美しい、相変わらず良い趣味をしている」

「続いて2人目。江田村様の注文で、早瀬愛美 18歳、通っている高校の制服を希望」

愛美はロングの黒髪で、清楚な感じの美女である。

お嬢様学校として有名な高校のセーラー服を身に付け、気を付けの姿勢をしている。

「いかにも男知らずのお嬢様って感じだな、あの人らしい趣味だ」

「最後に3人目、望月様の注文で、高橋舞 10歳、学校指定のスクール水着を希望」

舞は黒髪をポニーテールにした、活発そうな雰囲気の美少女である。

紺色のスクール水着を着て、お尻の食い込みを直す姿勢をしている。

「また小学生か、相変わらずのロリコン趣味だな」

この3人や社長室の女達が動かないのは、もちろん時間を止められているからだ。

研究員が開発したのは時間停止装置で、この装置を使って社長は新たな商売を始めた。

時間を止めると注文のあった女を誘拐し、その女を時間が止まったままの生きた人形にして、注文主に売却するのだ。

「新しい注文が入ったのだが、すぐに入荷できるかね?」

社長が研究員に紙を渡すと、研究員は内容を確認し答えていく。

「これなら簡単に入荷できるでしょう、商品のバイト時間も調べてありますし、すぐに準備します」

そう答えると、研究員は急いで部屋を出ていった。

数時間後、あるファミレスの前に車が停まっており、車内から研究員がファミレスを見ていた。

「情報通りなら店内にいるはず、早速やるか」

研究員が時間停止装置を操作すると時間が止まり、全ての人や物が動かなくなった。

研究員は車から降りるとファミレスの中に入り、商品である夏那を探していく。

「おっ、いたいた」

夏那は少し茶色がかった髪をポニーテールし、細身ながら大きめな胸の美女である。

ウェイトレスの制服の白のブラウスにピンクのミニスカートとエプロンを着て、客の対応している姿勢で止まっている。

「写真より実物のほうが美しいな、それでは持ち帰るとするか」

研究員は夏那を担ぎ上げると、そのままファミレスを出ていく。

見知らぬ男に連れ去られようとしても、夏那の表情は笑顔のまま変わらないでいる。

研究員は夏那を車内に運び込むと、時間停止装置からコードを延ばして夏那の首筋に先端のパッドを張り付けた。

「よし、時間完全停止」

研究員がスイッチを押すと、夏那の全身が一瞬だけ光に包まれる。

これで夏那の時間は止まったままになり、夏那は生きた人形になったのだ。

「よし、終了だな、後は自分の手土産を…」

研究員は車から降りると、ファミレスの正面にある高校に入っていく。

正門の近くにはテニスコートがあり、女子テニス部員が練習をしている。

研究員はテニスコートに入ると、女子部員達を物色していく。

「うん、この娘にしよう」

研究員が選んだ女生徒は2年生の高瀬優花で、黒髪のショートカットが似合う美少女である。

優花はピンクのシャツに白のスコートを着て、隣の女の子と喋っている姿勢で止まっていた。

研究員は優花を担ぎ上げると高校から出ていき、車内の夏那の隣に優花を寝かせる。

優花にも時間完全停止の処理がされると、装置の作動が止められて時間が動きだす。

だが時間を止められたままの夏那と優花は動かず、生きた人形となっていた。

そしてファミレス店内とテニスコートは、2人が消えたことで大騒ぎになっている。

その騒ぎを尻目に研究員は車を出発させると、社長の待つ会社へと戻っていった。

数日後、地下室では商品の受け渡しが行われていた。

商品となった4人の女性は丸台の上に飾られ、その周囲で注文主の4人の男性が満足そうに女性を見ており、その横では社長が現金の確認をしていた。

「それでは支払い金の確認が終了しました、これより皆さんと商品を指定の場所へ運びます」

研究員は時間を止めると、商品と注文主をそれぞれ指定された場所へ運んでいく。

そして時間停止を解除すると、社長に携帯で報告し、自宅に帰っていった。

研究員の自宅は立派な一戸建てで、家の中には厳重に鎖錠された部屋があった。

研究員が部屋の鎖錠を解除して中に入ると、優花がテニスウェアのまま飾られており、優花以外にも複数の女の子達が飾られている。

女の子達は学校の制服や体操服、スクール水着や部活のユニフォームを着ている。

研究員は商品の回収をするさいに、気に入った女子中高生を生きた人形にし、自分のコレクションとして持ち帰っているのだ。

「そうだ、時間を止めた女子校で、女生徒や女教師のオークションをするなんていいな、社長に提案してみるか」

研究員はコレクションとなった女の子達を眺めながら、妖しい笑みを浮かべていった…




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