ある芸術家の創作風景

朝食の準備を終えた俺は、地下の保管室に向かった。
引き戸を開けて、壁のスイッチを押すと、蛍光灯が点き、室内が照らされる。
年齢、種類別に整列している静止した笑顔の少女たち。
俺が収集しているのは、だいたい五歳から十五歳くらいまでの様々なタイプの少女だ。
基本的に持ち帰ったら、笑顔にさせてから服を脱がせ、全裸のまま保管室に入れる。
そして週に一度のペースで、様々なテーマで作品を制作している。



さて、朝食というシチュエーションと今日の気分に合わせて、保管室から四体の少女を選んでダイニングまで運び、それぞれイスに座らせると、俺も自分の席についた。
長方形のテーブル、その長い方の辺に二体ずつ、タイプの違う全裸の少女たちが座り、俺は男一人短い方の辺に座っている。何も知らない者が見れば実に異様な風景である。
だが、いちおう家族という設定なので、一体ずつ簡単に説明してみよう。
まず俺から見て右側の辺に座る二体は、近い方から妻役と長女役である。
妻役は中学二年生の真面目そうな少女で、それを際だたせる黒縁メガネはそのままに、今回もエプロンは着せないことにした。今はこういうタイプが俺のマイブームである。
長女役は小学五年生のボーイッシュな少女。運動が大好きだったのか、よく日焼けしていて、髪もかなり短い。本当に全裸でなければ誰もが男子と認識してしまうだろう。
二体の向かい、俺から見て左側の辺に座る二人は、近い方から次女役と三女役である。
二体はともに小学一年生で、それというのも実は本物の姉妹、一卵性双生児の双子で、姉がポニーテール、妹がツインテールという髪型の違い以外の見分け方はまだ見つかっていない。双子はこれで三組目だが、レア物の三つ子も一組、保管室で笑っている。
四体ともコレクションに加えてからまだ一ヶ月程度だが、妻役の少女はすっかり常連で、長女役は三回目、双子に至ってはまだ一度も俺の作品になったことがない。



テーブルの風景を愛用のカメラで何枚か撮影すると、俺は先に朝食を食べ始めた。
今日はご飯に味噌汁、焼き魚に納豆、生卵、海苔などに飲み物はお茶の和食メニューと、トーストに目玉焼き、スープにサラダ、各種フルーツに飲み物は牛乳の洋食メニューを、一つずつ用意したのだが、自分はカップラーメンと水だけ。
この二つの典型的な朝食メニューは目の前の四体のために作ったのだ。もちろん、食べさせるためではなく、今回の材料として使用するのだ。息子が毎週こんなことをしていると知ったら、母は「食べ物を粗末にするな」と嘆いたことだろう。



約分後、朝食を食べ終えた俺は、まだ冷め切ってない料理を使って、制作を始めた。


まずは最年長の委員長キャラから、ポーズはイスの上でM字開脚させる。
味噌汁の椀を手に取り、頭から一気にぶっかけて、そのまま帽子のように頭に乗せる。髪や顔、メガネに具のワカメや豆腐が付着し、真面目な印象は消えた。
続いて、納豆にかけるカラシを目の下に、ご飯と納豆をぐちゃぐちゃにかき混ぜて口の周りに、それぞれこれでもかというほど塗りたくる。黄色いカラシは見るだけで痛々しい。口元も見るも無惨な状態になっていて、いっさい顔の筋肉を動かしていないのに、見事な変顔に成り果てた。
次に一口サイズに切った焼き海苔を二枚重ね、それをまだまだ発育途中の小振りな胸に乳首を隠すように貼り付ける。海苔はここまで流れてきた味噌汁の効果で、すでに充分、肌に吸着したが、あえて両手をピースの形にさせて、落ちないように押さえさせた。
最後に両足を広げて完全に露出されていた下の穴に、焼き魚を頭からねじ込んで完成。


次にボーイッシュな体育会系。テーブルの上に両手両膝を付かせてハイハイのポーズをとらせると、両手で後頭部とアゴをつかんで顔を上げさせ、正面に向かせる。
最初にその浅黒い背中に、牛乳を瓶一本分まんべんなくかけていき、微妙な白さを表現。
次に耳にニンジン、鼻の穴にキュウリのスティックを深く奥まで差し込んでいく。時が止まっていなければかなりの激痛が襲っているに違いない。
口に目玉焼きを乗せたトーストを全体の三分の一ほどくわえさせ、食いしん坊な性格をアピール。
目玉焼きの付け合わせとして数個のミニトマトと数本のウインナーが残っている皿を持ち、少女の後ろに移動。
そしてまずミニトマトを、背中に溜まった牛乳に軽く浸してから、お尻を左右に広げて、現れた肛門に一つずつ押し込んでいく。五つすべて入れ終えると、同じ要領で今度はその下の穴に小さなウインナーを五本、ゆっくりと差し込んでいった。
両方の穴からそれぞれミニトマトとウインナーが覗いて見える。長女も完成。なかなか良い出来である。


最後はいよいよかわいい双子の姉妹である。ポーズは悩んだ末に、69の形をとらせることにした。具体的に書けば、まず姉を床の上に寝かせて、赤ん坊のオムツ替えのように両足を膝の関節が腕の付け根に付くくらいまで上げさせる。膝は曲げずに足の爪先を天に向けたまま、その上に妹をうつ伏せに寝かせる。両腕は曲げて肘を姉の膝の関節の裏側に置き、両足は姉の顔の左右の床に付くまで広げさせる。これで両方とも、文字通り自分の目と鼻の先に互いの股間があるという構図になるのだ。
本当に鏡に映したようにそっくりな顔姿の幼い姉妹。それが、こんなポーズをとらせるだけでここまで異常な光景になるとは、今までの素材の中でも最高レベルである。だがもちろんそこに何も描かないわけにはいかない。
まずは妹の股間を笑顔のまま見上げている姉から取りかかるとしよう。
生卵を額でコツコツと叩き、顔の真上で半分に割る。落ちた黄身は鼻に当たって破れ、ゆっくり白身と混じり合いながら顔全体に広がっていった。割れたカラは、まだほとんど無いと言っていいレベルの胸の上に、乳首を隠すように乗せてあげる。
さらに胸から腹にかけて、サラダ用のドレッシングを注ぎ、まんべんなく塗っていく。
同様に姉の股間を見下ろす妹にも、後頭部からまだ温かいコーンスープをかけて、床に落ちたコーンを二粒取り鼻の穴に詰める。胸や腹はせっかくなので姉に装飾させることにした。姉の両手一杯にマヨネーズを絞り出してその手首をつかみ、妹の体に塗りたくっていく。妹の肌をより白くした俺は、姉の両手を妹の胸にあてさせると、仕上げに移った。
フルーツの盛り合わせの中から、バナナを二本取って皮を剥く。それを二体のあそこにゆっくり差し込んでいった。ようやく、全体の三分の一ほどまで入れ終えると、反対側の三分の一をお互いの口にくわえさせた。
これで双子も完成。最近では一番レベルの高い出来ではないだろうか。



俺は一つだけ残ってしまった、まだ温かいお茶をすすりながら、四つの作品を眺めた。
そして様々なアングルで好きなだけ写真を撮っていく。また自画自賛になってしまうが、その奇妙な芸術作品は、本当に素晴らしいものだった。さらなる創作意欲をかき立たせてくれる。
しかし、本当の意味では、まだ終わっていない。
それというのも俺の場合、微動だにしない少女たちの裸体を素材にすることは統一しているが、それを装飾する材料はその日の気分によってかわる。
この活動を始めた当初悩んだ点は二つ。一つは今回のように生ものを材料にしたときに、いつまでも飾っておくことができないこと。もう一つは、いつまでも飾ることになると、同じ少女を二回使えなくなること。
大した発想でもないのだが、この二点を同時に解決する方法をひらめいたのだ。


俺は自分の部屋に行ってカメラからパソコンにデータを移し、まだ撮っていない場所がないかよく確認すると、パソコンから家中に設置された監視カメラの映像を出して、ダイニングから浴室までの三台の映像をアップにした。


そこに映し出された作品を再びじっくり鑑賞する。
‥‥‥よし、もう思い残すことはない。
俺は目の前の四体の少女たちだけ、時の呪縛から解放した。
‥‥‥‥‥「ウッ‥‥‥」 ポトン
妻役が呻き声をあげるのと、長女役が口からトーストを落としたのは同時だった。
双子は瞬きを繰り返しながら今の状況を理解して、悲鳴をあげようとしているが、口にくわえたバナナのため叶わない。
「ハァ‥‥フゥ‥‥‥またか‥‥‥」「痛い痛い痛い」
妻役は目の下に塗られたカラシのせいか、あそこに差し込まれた焼き魚のせいか、涙目になりながらも感想めいたことを述べる。長女役はそう連呼しながらも、同じ姿勢のまま鼻や耳に手をやり、そこに刺さっている野菜スティックを抜き始めた。
双子はようやく妹が姉の上から起きあがり、こちらはお互い泣きながら股間のバナナを抜き始める。
「みんな、大丈夫?」 スポンスポンスポン
妻役が口の周りに塗られた納豆ご飯を拭いながら、自分以外の三人に問うと、長女役は答える代わりに、肛門とあそこからミニトマトやウインナーを勢い良く吐き出し始める。
「ヌルヌル‥‥‥気持ち悪いよぉ」
双子の姉は生卵とドレッシング、妹はコーンスープとマヨネーズを手で必至に拭おうとしていた。
「あなたたち、初めてなの?」
ゆっくりと立ち上がり、二人に近づく妻役。双子の姉妹はまだ泣きながら手をつないで立ち上がる。長女役は腹の中の物をすべて出すと、テーブルの上に倒れた。
『おねえちゃん‥‥‥ここどこ?』
双子の見事にシンクロした質問に、相手は同じ目線までしゃがんで答える。
「おねえちゃんにもよくわからないの。でもね、最初にこうなったとき、どこかから声が聞こえてきて、『バスルームへ行け』って‥‥‥そのときもこんなだったから、何も考えずにそこまで行って、シャワーを浴びようとしたの。そしたらね‥‥‥」
双子は妻役の少女の話を真剣に聞いている。
「体に水がかかる直前に目の前が真っ白になって‥‥‥気づいたらまた違う場所で、違う女の子たちといっしょに体中汚されているの。もう何回目かな‥‥‥」
長女役が泣きながら三人に目を向ける。
「もうイヤだ‥‥‥もうイヤッ」
「あきらめちゃダメ! いい? あなたたちも絶対あきらめちゃダメだよ? いつか絶対お家に帰れるから」


もちろん、これまでにも様々な少女たちがこの家から脱出を試みてきたが、彼女くらい何回も絶望を繰り返していくと、半ばあきらめ、他の少女たちにこのように説明し、そうしながら元気づけていくのだ。
まだ泣き叫んでいる長女役を置いて、妻役は本当の母親のように少女たちを浴室に案内した。彼女の説明に符合するように、俺はシャワーの水が三人にかかる直前で、長女役を含む四人の時の流れを止めた。
直後、水が静止した少女たちに降り注ぐ。
俺はダイニングに行き、テーブルの上の長女役を抱きかかえると、浴室に持って行く。そこで四人全員の体をきれいに洗い流すと、バスタオルで優しく拭いてやり、ドライヤーで髪を乾かしてあげた。
再び四人を保管室に運び、元の位置に並んで立たせると、一人ずつ表情に満面の笑みを浮かばせてから、引き戸を閉める。


俺は誰もいないダイニングに戻ると、一人微笑しながら床に散乱した野菜スティックやウインナー、バナナを回収していった。
明日は誰を使おうか‥‥‥‥‥
俺の制作活動は、まだまだ続く‥‥‥



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